Edius X Pro にバージョンアップしてみた

UIや使用感は「Edius 9 Pro」を踏襲

UIは色合いが暗くなり、視認性が増しました。各種アイコン等の配置は基本「Edius 9 Pro」と変わりませんのでこれまで「Edius 9 Pro」を使用していた方は違和感なく移行出来ます。

「Edius 9 Pro」経験者なら違和感なく移行可能

ドラフトプレビューモードが快適

「Edius X Pro」で新たに追加された新機能「ドラフトプレビューモード」。これは4k動画等負荷の高い動画ファイルをプレビューする際、表示解像度を落として表示することで負荷を下げる機能ですが、これがかなり効果的です。

解像度は「Full」「1/2」「1/4」「1/8」「1/16」の5段階で設定でき、値が小さくになるほどCPU負荷が軽減します。下記は「4k 60p 150Mbps」の「h.264」ファイルをプレビュー再生した際のCPU使用率となります。

「Full」表示時のCPU使用率は「46%」
「1/2」表示時のCPU使用率は「16%」
「1/4」表示時のCPU使用率は「11%」

筆者の環境ですと4kモニタの右上1/4程度の領域にプレビューを表示する構成ですので、「1/2」が画質と負荷のバランス的に良さそうです。「1/4」は画質の割にはあまり負荷が下がりませんでした。

「Quick Sync Video」対応CPUであれば「ハードウェアデコードを使用する」設定を利用可能

「HEVC」欄にも同様の設定がありますが、こちらはON/OFF切り替えても効果が確認出来ませんでした。h.265再生時に効くのかなと思いましたが再生した感じ差はありませんでした。

「h.265」のエンコード時、nVIDIAのハードウェアエンコードが可能に

エンコード時に指定するエクスポーターに「H.265/HEVC (NVIDIA)」が追加され、nVIDIA製GPUでのハードウェアエンコードが可能となりました。

エクスポーターに「H.265/HEVC (NVIDIA)」が追加

これによりCPUではかなりの時間を要していた「h.265」のエンコードが大幅に短縮されます。

「intel製CPU」+「nVIDIA製GPU」を強く推奨

まず「Ryzen 9 4900HS」ではプレビュー表示時にハードウェアデコードが使用出来ない為、「4k 60p」動画をまともにプレビュー再生出来ません。CPU使用率はそこまで上がらないのですがコマ落ちが激しい状態です。

「Ryzen 9 4900HS」環境下では「ハードウェアデコードを使用する」設定が表示されない
「Full」設定でもCPU使用率は54%とそこまで高くないが、実際のプレビュー再生は厳しい

エクスポート時においても「h.264」のハードウェアエンコードが利用できず、「h.265」に至ってはGPUを使用しない通常のエクスポーター「H.265/HEVC」も使用出来ませんでした。nVIDIA製GPUを積んでいなければ実質「h.265」のエクスポートが不可となります。

「Core i7 10700k」では「h.264」エンコード時にハードウェアエンコードを利用可能
「Ryzen 9 4900HS」では「h.264」エンコード時にハードウェアエンコードが利用不可
「Ryzen 9 4900HS」で「H.265/HEVC」を実行するとエラーとなる。QSV必須?

この辺は今後バージョンアップで改善されるかもしれませんが、現状「Edius X Pro」を使用される方はintel製CPUを選んだほうが無難です。

「h.264」「h.265」のエンコード時間をテスト

最後に、「h.264」および「h.265」のエンコード時間を計測してみます。

h.264 4k 60p 動画のエンコード時間

次に「h.265」のエンコード時間を比較。「h.264」よりも重いフォーマットではありますが、こちらはGPUを使用可能で「GeForce RTX 3080」は実時間にかなり近いところまで短縮されています。また「Zephyrus G14」も「GeForce RTX 2060 Max-Q」の恩恵がここで受けられています。

nVIDIA GPUによるハードウェアエンコードの恩恵は大きい

ちと残念だったのは「GeForce GTX 1080」と「GeForce RTX 3080」で殆ど差が出なかった事でしょうか・・・「GeForce RTX 3080」もちっと短縮されて欲しかった・・・。GPU使用率を見ると全然働いてないように見えるのは気のせいでしょうか・・・?

「RTX3080」さんちゃんと働いてるんでしょうか?CUDAのみだとこんなもの?

2022/7/16 追記

コメントにて指摘頂きました。エンコード時の使用率はタスクマネージャのGPUタブから確認出来るとの事で、再度試してみましたところ、50~60%程の使用量となっていました。以下はH.264エンコード時の状況ですが、H.265でも似たような推移です。やはり100%は使用していないのでしょうか・・・?

PC環境は選ぶが軽快な動作と堅実な機能追加で初心者にもおすすめ

Ediusは昔から軽快な動作と安定性で定評があり、「Edius X Pro」であっても今回初回リリース版を使用していますがクラッシュ等はまだ発生しておらず、安定して動作しています。

ただ、PC環境を選ぶ事も事実で、少なくとも「intel製CPU」か「nVIDIA製GPU」どちらかは欲しいところなのが難点でしょうか。これらは今後のソフトウェアバージョンアップに期待します。

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GeForce RTX3080 導入につき自作PCを刷新

2020年9月、待ちに待った「nVidia」のGPU「Geforce RTX3080」が発売されました。が、どうも現PCのCPU「Core i7 6700k」では性能が低すぎて「RTX3080」の足を引っ張ってしまうとのことで、前回自作時から5年が経過したこともあり思い切って刷新する事としました。

一応、「高性能」「安定性」「静音性」あたりをバランスよく構成できたかと思いますんでこれから自作を考えている方の参考にでもなれば。

GPU : MSI GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G

消費電力が「340W (!)」もあり、補助電源は「8pin x 3 (!)」、ボード長も「323m (!)」もあります。今回はこのモンスターGPUを収める事を基準としてパーツを選択していく形となります^^;

補助電源端子は「8pin x 3」となんとも恐ろしい事に・・・。
上が「GTX1080」、下が「RTX3080」

電源 : Fractal Design Ion+ Platinum 860W

ファンは低負荷で停止させる設定とすることも可能ですが、実際使ってみると高負荷時でも十分静かでしたのでここは安定性を重視して常に回転させる設定としました。

860W、80Plus PlatinumなのでRTX3080でも余裕のハズ

細かいところですがPCI-E電源ケーブルが初めから3本同梱されていますので、補助電源対策もバッチリです。

ケース : Fractal Design Define 7

内部構造を大胆に変更可能なところがポイントで、内部の空間を確保しつつ、ストレージを大量に積むことも可能です。まぁその分やたらデカくて(L547 x W240 x H475 mm)、重い(13.49kg)のですが・・・。

RXT3080とケース前面との間に十分なスペースを確保
裏面にストレージを配置可能。隠れていますがケース下部カバー裏にも2台搭載しています

フロントパネルに「USB 2.0 x 2」「USB 3.2 gen1 x 2」「USB 3.2 gen2」が実装されており、アクセシビリティも良好です。

フロントパネルの各種IF端子仕様も今風

CPU : Intel Core i7 10700k

使用するアプリの都合上intelにせざるを得ない

CPUクーラー : Fractal Design Celsius+ S36 Dynamic

自作歴20年にして初の水冷

ポンプの音がブクブク聞こえるんじゃないかと想像していましたが、高負荷時でもほとんど何も聞こえません。それでいてしっかり冷えています。同じメーカーということもあり、ケースの「Define 7」との相性も抜群です。

ケースがあたかもコレを付ける想定で作られているようにも見える

マザーボード : Gigabyte Z490 VISION D (rev. 1.1)

クリエイター向けとの事で派手さはないが堅実な印象
「Thunderbolt3」端子がオンボードで2つ

メモリ : Crucial CT2K16G4DFD832A DDR4 PC4-25600 16GB x 2

メモリは素直に無難なやつを選びましょう

記憶媒体 : WD Blue SN550 NVMe SSD 1TB

NVMe 1TB で実売12,800円はかなりお買い得なのではないでしょうか

ちなみに「VISION D」のM2スロットには標準でサーマルガードが付いてますんで発熱に関してはあまり気にしなくてもよいかも。

マザーにサーマルガードが付いているので発熱の多いSSDでもおそらく大丈夫

ここからは直接的に必要なものではありませんが、筆者の環境上必要となった追加の部品について紹介していきます。

その他1 : Cable Matters Mini DisplayPort DisplayPort 変換ケーブル (0.9m)

筆者はPCの画面出力先をこれまで「4Kモニタ Eizo EV3237 (DisplayPort)」「4Kテレビ 49Z720X (HDMI)」「HTC Vive (HDMI)」としていましたが、「MSI GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G」は「HDMI」ポートが1つしかありません。

映像出力端子は「DisplayPort x 3」「HDMI x 1」。環境次第では変換アダプタ必須

その他2 : Club3D DisplayPort 1.4 to HDMI 2.0b HDR 変換ケーブル

結果としては「Mini DisplayPort DisplayPort 変換ケーブル」が問題なく動作しましたので不要となりましたが・・・。

「4Kテレビ 49Z720X (HDMI)」へ接続を行いましたが、「4k 60p」で問題なく動作しております。ちなみに本変換ケーブルで「HTC Vive」の「HDMI」端子に接続してみたところ、こちらも問題なく動作しました。「Oculus Rift」では動作しなかったというAmazonの書き込みもありましたのでご注意下さい。

その他3 : CableCreation 8K DisplayPort Cable 1.4 DP変換ケーブル (8K–2M)

その他4 : CoolerMaster 汎用ビデオカードホルダー CA-0005-KUH00

見づらいですがGPUの終端部をサポート。磁石付きでズレることもありません

その他5 : AINEX USB2.0 リアスロット 2ポート RS-002E

USB2.0なので基本付けっぱなしの低速デバイス等に利用

最新ゲームをプレイしてもほぼ無音、トラブルもなく一安心

全部ひっくるめて30万超えてしまいましたが、当初の目的であった「高性能」「安定性」「静音性」を十分に満たしたPCとなりました。メーカー製やBTOではなかなか難しいレベルのPCですが、これも自作の醍醐味と言えるのではないでしょうか。